社長ブログ 社長が日々考えていることを思いついたときに・・・

想う、感じる、伝える。-⑩

-味覚-
 
生理学的に言うと、味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五つの基本味があり、それらの配分加減で人はいろいろな味を感じているとのことだが、われわれが一般的に味について語る場合は、純粋にこの生理学的な要素だけではなく、味覚以外の他の四つの感覚や記憶まで加えた総合的な「味わい」の話をしている。特に温度や香りはその大きな要素だ。
 
そういう意味では五感全体の感覚であり、さらには個人的嗜好の差も非常に大きく、これを他人に言葉で伝えるということは甚だ心もとない、と言うより正確に伝わることなどありえないという確信に近い。
 
だいたい「辛い」と言っても、唐辛子とわさびの辛さの違いを端的に表現する言葉が見つからない。唐辛子はホットで、わさびはクールな辛さ。…端的には程遠いが、短く言おうとすればせいぜいこんなところか。それも相手が唐辛子やわさびを食したことがあるという前提での表現だ。一度も食したことのない人に、わさびのあの微妙な味わいを説明しようなんて挑戦心は毛頭起こらない。
 
しかしながらおいしい物は、教えたい、食べさせたい、聞きたい、食べてみたい、が人の常。
 
『スープはとんこつ醤油、こくがあるのに油が口に残らなくて割りとあっさり、味は少し薄めかな。麺は中細のちぢれ。卵の練りこみ具合が良く、これにスープが絡んでのど越しは最高。量はおおよそ180gでまあ普通、食べ終わるまでのびない。チャーシューはもちろん自家製、たっぷり厚切りだが歯の先でほろりと解ける。他の具はメンマと焼き海苔だけ。余分なものは一切ない。そうそう、きざみネギは好みの量を聞いてくれる、俺はいつも大盛り』  これだけ説明しても味は伝わらない。
 
もう面倒くさいから食べさせに連れて行く。「どうだ、旨いだろ」「なんか中途半端ね、こってりかあっさりかハッキリしてほしいわ。スープも少し温いし。私あんまり好きじゃない。遠くまでわざわざ来たのに」
 
「!?」
 
私にとって至高のラーメンは、彼女にはカップ麺より少しまし程度なのである。こんな徒労がいつも繰り返される。
  
 
= ピー・オー・ピー「見本市展示会通信」’09年4月1日号掲載 =
 
展示会コミュニケーションサイト 「展コミ」
http://www.eventbiz.net/ 

想う、感じる、伝える。-⑨

-第六感-

前章で背後の恐怖感のことに触れたが、背後で思いついた話をしてみたい。

静かな部屋のなかなどで突然背後に人の「気配」を感じることがある。そして実際に人がいることが多い。五感では解説しにくい感覚だがアレは何なのか。

われわれはこのような現象はすべて「第六感」か「超能力」で済ましているが、ちゃんと科学している人たちがいる。

それによれば、人は歩くたびに微弱な帯電と放電を繰り返していて、その度に電圧の変化を起こしている。そして人体には毛根のすぐ下あたりにその電圧差を感じ取れる器官があって、忍び寄る人の電圧差を「気配」として感じるらしい。

実験では、10人中7人が人工的に起こした人と同レベルの電圧差を感じ取り、「気配」と同じような感覚を感じたとのことだ。

犬はもっと凄い。飼い犬が主人の帰宅を遠くから察知して、玄関に出迎えに行く話しは良く聞くが、これも人の「気配」を感じ取っているのだという。ただ犬の場合は人の発生する電圧差ではなく、電磁波を感じ取るという。人は、先に説明した電圧差の発生と同時に微弱な電磁波も発生する。さらに、この電磁波には人によってわずかながらパターンの違いがあって、犬はこのパターンの違いまで感じ分けて、主人の気配を区別しているという。

ホンマカイナ?と思わないでもないが、一部の動物は地震や雷が発生する電磁波に反応することが確認されているとのことだ。
  
 
= ピー・オー・ピー「見本市展示会通信」’09年3月1日号掲載 =
 
展示会コミュニケーションサイト 「展コミ」
http://www.eventbiz.net/ 

想う、感じる、伝える。-⑧

-聴覚-

ずいぶん以前に、ある遊具メーカーと共同で音だけのお化け屋敷にトライしたことがある。一時は結構流行ったが今ではあまり見かけなくなってしまった。営業効率の問題もあるのか?

室内はストーリーに合わせたそれらしき内装が施してあるが、客が入場し着席すると一転暗闇となってヘッドホンからの音だけでストーリーが展開する。

背後に忍び寄る怪人の足音。息遣いが耳にかかるほどの近さで低く呟く。振り落とされる凶器の風切り音。特に背中側は人間とって一番無防備であり恐怖は倍化するらしい。人はある感覚機能が損なわれたり劣化したりすると、他の感覚が鋭くなるということは良く聞く。音以外の情報がないと神経が集中して実に臨場感が溢れる。空間の広がりや、対象との距離感まで精度高く感じ取れる。

これもかなり以前のことだが、ある実験的なイベントの話を聞いたことがある。真っ暗闇の空間の中に簡単な迷路(順路)をつくり、来場者にはまったく視覚を奪われた状態で何とか出口にたどり着いてもらうという企画だ。途中には軽飲食のコーナーも在ったようだ。

視覚を遮断して、聴覚、触覚、嗅覚、味覚だけで課題をクリアするのだが、ルールがひとつだけあって、グループでの纏まった参加は禁止される。連れ立ってきた人はばらばらにされて時間差で入場する。つまり自分の近辺は見ず知らずの人ばかりという状態である。

手探りで壁を伝い、前後の人の気配を窺い、声を掛け合って出口を目指すのだが、このような状況下では、すごい速さでコミュニケーションが進むらしい。すぐに前後何人かで手を繋ぎあって協力するようになる。顔も見えない同士が自己紹介まで済ませて、ゴールに至る頃には幾つもの濃密なグループが生まれるとのことだった。

ヨーロッパでは数年前から「暗闇レストラン」なるものがあるらしいが、最近日本でも聞くようになった。私も一度トライしてみたいと思う。

聴覚の入り口から入ったが、出口では視覚と味覚になってしまったようだ。
  
 
= ピー・オー・ピー「見本市展示会通信」’09年2月1日号掲載 =
 
展示会コミュニケーションサイト 「展コミ」
http://www.eventbiz.net/ 


想う、感じる、伝える。-⑦

-視覚-
 
西洋には古くから、視覚と聴覚は五感のなかでも優れているという考えがあって、それは対象から離れても成立するからだというようなことがネット上に在った。
 
五感の優劣を議論する気はないが、確かに視覚や聴覚は実体感の場を離れても記憶に残りやすく、またそれを表現したり伝えたりする手段が多くある。なかでも視覚は一番確実性の高い感覚と思われる。が、これが意外と当てにならない。実は人はかなりいい加減に物を見たり記憶したりしているのではないか。
 
オフィスの窓からの見慣れた町並み。毎日見続けて目に焼き付いているはずが、ある日突然この一角が再開発で取り壊される。すると昨日までの風景が明瞭に思い出せなくて戸惑う。こんな経験は皆さんもないでしょうか。
 
興味や、思い入れ、集中力などによって見え方も大きく異なってくる。
 
逃がした魚が大きいのは誰でも共通のようだが、ある事件の目撃者の一人は「犯人は赤い服を着ていた」と言い、別の一人は「いや青い服だった」なんてことは良くある。
 
さらには、感情移入と時の経過によって変質する。
 
二人で並んで見る日本海に沈む夕日。その瞬間は互いに美しいと思っても、片や、今隣に居るご主人とは違う昔の恋人と散歩した夕焼けの浜辺を思い出して、ひとり気まずい思いになる人もあれば、片やこの夕間詰めの絶好の潮時になぜ釣竿を持っていないのだろうと悔やむ人もいる。
 
時が経って、たまたま二人がこの夕日の話題に及んでも、美しい夕日の風景ではなく「昔の恋人」と、「大きな獲物」…互いにイメージはバラバラ。本当のところではかみ合っていない。
  
 
= ピー・オー・ピー「見本市展示会通信」’09年1月1日号掲載 =
 
展示会コミュニケーションサイト 「展コミ」
http://www.eventbiz.net/ 

想う、感じる、伝える。-⑥

-五感-
 
われわれは俗に「五感」としているが、専門的には七つあるいは九つ、さらに細かく分類すると二十余りになるそうだ。その話は別の人にお願いするとして、ここでは「五感」で進めたい。
 
「感覚」はあくまでも各個人の主観であって、それを他の人にまったく同じものとして理解してもらう術など本来ない。人間の共同生活における知恵として、赤い色とか、高い音、甘い、腐った臭い、痛いなどのように、感覚を大まかに共通認識できる言葉を作り、さらにそれにさまざまな修飾を重ねてその精度を上げる努力をしている。
 
当然感覚には感受性や嗜好性といった個人差があり、経験量の差もある。これらが人の相互理解の触媒になったり壁になったりしていることは既述したが、この差があるからこそ人生がイロイロと面白いとも言える。
 
「旨い」は共通認識の言葉であっても「旨い肉」は共通認識になりえない。肉の嫌いな人には「旨い肉」と言う感覚が存在しない。これにはどんな修飾を重ねて説明しても無駄である。
 
では、この「旨い肉」の感覚をもつ人ともたない人の間にいつも大きな壁があるかと言えば必ずしもそうではない。嗜好が違うにも拘らず定期的にグルメ探訪を重ねる仲良しグループや、「ウチの晩御飯には肉が出ない」と奥さんをなじりつつも、長年仲睦まじく暮らしている夫婦もよくある話だ。
 
ちなみに私の愚妻は「高野豆腐」を旨く感じないようで、ほとんど食卓には上らない…。
  
 
= ピー・オー・ピー「見本市展示会通信」’08年12月1日号掲載 =
 
展示会コミュニケーションサイト 「展コミ」
http://www.eventbiz.net/

社長ブログ

カテゴリー

エントリー

バックナンバー

Copyright