前回のエントリーで、触れましたが、海外の協力会社による施工物件。
というのが、今までの業務と一番違うところです。
クライアントは日本人なので、計画及び基本設計までは、
国内で行いました。
で、スペイン国内法規対応、施工方法調整、素材選定、
実施予算調整とバリューエンジニアリング。
などなどを含めた実施設計フェーズから、
スペインのゼネコンと協働作業となります。
そうなるだろうとは、当初からイメージしてはいても、
イメージ以上に大きなギャップだったのが、
ある種の「日本との距離」。
そういった意味で、この物件のテーマは、
コミュニケーションにあった。
といっても良いかも知れません。
さまざまな調整先。
多層構造の顧客。
現地の建設・展示会社やプロバイダー。
レストラン出店者。
お茶の供給先。
現地でお世話になった通訳の方。
サラゴサの地元の方々。
博覧会公社。
日本人、スペイン人共に、多くの人とのコミュニケーションを
行うことが、仕事の大半を占めると言う状況。
と、いっても過言ではありません。
2名の大学の同窓生と、この物件で奇しくもご一緒する機会を得た。
ということも、結果的に面白いコミュニケーションの表れ。
と言えるかも知れません。
その中で、一番印象的だったのが、関係性における”対立”の概念。
丁度、私が感じたことを村上龍さんがエッセイの中で書かれていたので、
抜粋してみましょう。
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アメリカと、西ヨーロッパ先進国に於いては、
個人でも、国家でも、関係性の基本は“対立”にあるといわれる。
日本社会で“対立”とは、喧嘩とか仲違いと誤解されやすい。
“対立”が関係性のベースという意味は、
私とあなたは違う人間だから、意見の違いがあるのが当たり前だ。
と、いうことで、別に喧嘩腰になることではない。
日本社会では、集団内における個人の均一性が重要視され、
個人は集団に溶け込むことを要求されるところがあるので、
関係性における“対立”という概念が希薄だ。
本当は、人間は誰とでも基本的に“対立”していて、
利害が一致するときに、仲良くなったり、
グループを作ったりするだけなのだが
日本社会では、“対立”があると、それだけで問題となりがちだ。
村上龍「ハバナ・モード~すべての男は消耗品である。Vol.8~」より抜粋
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レストランで、食事をする時とか、
観光地を回る時って言うのは、
“対立”という関係性は、勿論ないのですが、
ビジネスの面になると、この概念がとたんに顕れてきます。
ニコニコと友好的でありながらの、基本的には“対立”の関係。
概念の話というのは、なかなか
上手く伝わらないかも知れませんので、
コトバをもう少し重ねさせていただきます。
日本で、“対立”というと、お互い背を向けて、
プイッと“拒絶”する感じですが、
向こうの“対立”は、しっかり向き合って、
“よし、お互い歩み寄れるか話してみようよ”という感じです。
コロンビア系スペイン人の清掃のお姉さんたちは、
こちらが、スペイン語を少しでも話して、
彼女たちの話を、一所懸命聞けば、
それだけで、途端にフランクになってくれました。
最後には「愛しい人の言うことなら、聞くわ~。」
と、言いながら、かなり丁寧な仕事をしてくれました。
帰国してから、暫くイタリアにいたことのある方にこの話をすると、
「今、イタリアは口頭試問による卒業試験。
彼らは、試験官に繰り返しperche?なぜ?を繰り返されます。
だけど、彼らはそれを、意地悪と捉えるのではなく、
その“対立”を如何に楽しみ、周りの拍手をさらうことが出来るか?
に注力します。
そのperche?(何故?)に対する、
Perche.(何故なら。)に答え、挑む中で、
自分のidentityを再認識するのです。
自分のidentityの認識があってはじめて、
“対立”を拒否するのではなく、
他を尊重する気持ちが育まれるのです。」
というお話を聞きました。
また、別の暫くアメリカにいたことのある方の話では、
「私が知っているアメリカ人夫婦の会話の8割が、
I don’t think so,から始まるんです。
私は、そうは思わないけれど、というやはり“対立”
を認めた上での会話、ということなのです。
『解りあう』というか、『違うことを認識すること』
で、相手が大切で、かけがえの無いものであることに気付き、
優しくもなれるんじゃあないだろうか?」
というお話でした。
以前記事に書いた、「同感」と「共感」にも通ずる
彼の地と日本の概念の違いは、かなり根の深いもの。
なのだなぁ~と、思ったのでした。
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