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帰国の朝、ホテルから空港に向かう途中。

すっごいスピードで、前の車にぴったりくっついて走らせる
タクシーの車中で、その当人である運転手さんが、
「また、スペインに戻って(VOLVER)くるんだよ。」
なんて言っていました。
今から、日本にVOLVERするところなんだけどなぁ~。
でも、まぁ、泣かせるねぇ~。
と思いながら、
「また、近々ね。ありがとう。」
といってタクシーを降りたのでした。

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なんか良いものだなぁ~。
なんて呑気に考えていたけれど、
人にとって「VOLVER」すべき処。
って、一体、何処なんだろうか?


丁度、スペイン内を鉄道で移動する時に読んでいた本は、
ジュンパ・ラヒリさんの「その名にちなんで」
これは、ABCD(=American Born Confused Deshi)
つまり、アメリカ生まれで、混乱したインド系の人間。
を背景とする物語です。
両親のようにはインドへ親しみを感じないけれど、
さりとて、何代にも渡ってアメリカに住んでいる
アメリカ人のようにもなれない、解らなさ。
そんな背景を背負って、自分の拠り所を探す。
といったストーリーです。
言い換えると、この小説も
「VOLVER」すべき処。探し。
と、言えるかもしれません。


「VOLVER」すべき処。とか、
心もとない不安定な状況。とか、
旅。というと、やっぱり、思い出すのは、
日本人なら以下の文章かな?


"...Ceaselessly the river flows,
and yet the water is never the same,
while in the still pools the shifting
foam gathers and is gone,
never staying for a moment..."
           Kamo no Chomei, Hojoki
行く川の流れは、絶えずして、
しかも、もとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、
かつ消え、かつ結びて
久しく留まりたる例なし。
「方丈記」鴨長明


"...The moon and sun are eternal travelers.
Even the years wander on.
A lifetime adrift in a boat,
or in old age leading a tired horse into the years,
every day is a journey, and the jorney itself is home..."
          Matsuo Basho, Narrow Road to the Interior
月日は、百代の過客にして
行きかふ年も又旅人也。
舟のうえに生涯を浮かべ
馬の口をとらえて
老いを迎ふるものは、
日々、旅にして、旅を栖とす。
「おくの細道」松尾芭蕉


もしくは、室生犀星「抒情小曲集」

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや 
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや


なんか、この文章を読むと「VOLVER」すべき処。
って、すごくフラクタルなモノのような気がしてきます。
「場所」とか、箱としての「建築」ではなくて、
「味わい」とか、「雰囲気」といった非常にメンタルなモノ。
もしくは、あなたの腕の中。といった人由来のちいさな場所。
のように思えてきました。

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スペインで、ず~っとお世話になった通訳さんは
「僕は、スペイン人だけど、心の中は日本人だよ。」
みたいなニュアンスで喋るし。笑)


デジャビュで観る風景って、帰ってきたよ~。
という「VOLVER」感覚、ありますものね。


だから、やっぱり「VOLVER」すべき処。
って、地名とかではなくって、自分の心の向かっていくところ。
という抽象概念。
っていうのが正解なのかもしれません。


Presented by“すみ”

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