
関東地方の桜はもうすっかり散ってしまいましたが、これから北の地方は本番といったところですね。
先日、靖国神社で毎年、開催されている恒例の夜桜能の撮影へ行ってきました。
夜桜能とは九段の靖国神社内にある能楽堂で毎年、桜の季節に合わせ、ライトアップされた満開の桜の下、日本古来の伝統的な能舞台を楽しめるイベントです。
撮影条件としてはかなり厳しい夜の能舞台。さらに夜桜能ですからライトアップされた桜の雰囲気もきちんと写さなければなりません。もちろん、最新のデジタルカメラを駆使し、撮影に当たりましたが、本番の能舞台は静粛とした中の撮影。無粋なシャッター音は厳禁です。
現在の一眼レフタイプのデジタルカメラは、手ぶれ補正、高感度撮影、ライブビューといった一昔前のフイルムカメラでは考えられなかった機能が常識になってきています。ですからフイルム時代の撮影よりはかなり楽になっています。ただ、最新のデジタルカメラをもってしても屋外での夜の能舞台と桜はかなり厳しい条件です。
先に挙げた機能は今や常識になっていますが今回の能舞台では特にシャッター音に注意しなければなりません。分りやすく言えばクラシックのコンサート会場などとほぼ同じ条件と言えます。なにより大きな音を立てないことが一番の課題でした。

そこで特に威力を発揮したのが「超高感度撮影」と「静音シャッター」でした。
今回はライブビュー撮影(一眼レフのファインダーではなく背面の液晶モニタで直接、被写体を見て撮影する機能。コンパクトタイプのデジカメでは当たり前の機能)での静音撮影を行いました。結果は大成功。本番中の厳粛な能舞台を邪魔することなく、かつ美しくライトアップされた満開の桜も同時に写すことができました。フイルム時代ではおそらく撮影自体が困難な条件でした。
最新のデジタル技術が可能にした日本古来の伝統芸能の撮影。デジタルによる表現方法の変化が今まで撮影不可能だった領域を新たに切り開いてくれる。こういったことは日々の撮影でも感じていますが今後も益々増えることと思います。
歌舞伎とは対照的なシンプルで荘厳な伝統芸能の世界。まだ未体験の方はいかがでしょうか?この夜桜能も毎年、ムラヤマは裏方としてお手伝いさせて頂いています。
お久しぶりのSWCでした。