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大阪・関西万博の舞台裏|3名の若手社員が本音で語る挑戦と学び

「万博」は、空間づくりを手掛けるムラヤマにとって最大規模のイベントの1つ。1970年の日本万国博覧会をはじめ、国内および国外で開催された歴代の万博において私たちは数多くのプロジェクトに関わってきました。

ムラヤマは、2025年に開催された大阪・関西万博でも数多くのパビリオンの企画・設計・制作を担当。精鋭メンバーで世界的ビッグイベントに臨みました。

今回は、大阪・関西万博を支えたスタッフの中から、初めて万博プロジェクトに参加した若手社員3名に、現場での体験やそこで感じたこと、学んだことなどを本音で語り合ってもらいました。

【参加メンバー】

塚本 万里

アートプロジェクトにおける制作調整・運営業務、飲食施設のプランニングを担当。


林 雅人

4案件の基本計画をはじめ、パビリオンにおけるステージイベント、各種展示、飲食ブースなど幅広い業務で合計11案件の企画・設計・デザインを担当。


牧野 加奈

テーマ事業の某パビリオンにおいて、内装施工に関わる現場マネージメントを担当。


万博プロジェクトをめぐる「理想と現実」

国家的ビッグイベントである万博は、空間づくりに携わる者にとって、またとない大舞台です。その大舞台を初めて経験した3人に、まずは率直な気持ちを語ってもらいました。

みなさんにとって「万博」とは、どのような存在でしたか?

牧野:高校生の時に愛知で開催された万博に行って、すごく楽しくて。ちょうど建築に興味を持ち始めた時期だったこともあって、その時の体験が工学部への進学にも繋がりました。就職活動でも「万博のような空間をつくりたい!」と思い、ムラヤマへの入社を決めました。だから今回、万博の仕事を打診された時は、すぐに「やります!」と手を挙げました。

:私もまったく一緒です。中学生の頃に行った愛知万博が、もう純粋に楽しくて「こういうものを作ってみたい」と感じた記憶があります。高校、大学で建築系へ進んだことも、万博の実績があることを知ってムラヤマへの入社を決めたことも牧野さんと一緒ですね。入社以来ずっと「万博をやりたい」と手を挙げ続けて、今回ようやく願いが叶いました。

塚本:私の場合は、お二人ほど強い思い入れはありませんでした(笑)。まさか自分が万博の仕事をするとは思っていなかったというのが正直なところです。でも結果として、万博の仕事ができてよかったと思います。他の案件にはない、万博だからこその貴重な経験をさせてもらいました。

実際、万博プロジェクトに参加しての感想は?

牧野:2022年の末くらいに入札が始まり、その後、週に何度も会議を重ねるということが数年にわたって続きましたので、とにかく「長かった」というのが率直な感想ですね。

:確かに長かったですね。私の場合、給排水や電気などの設備関係まで幅広く提案していたので、目の前の課題を追い続けるだけでも本当に大変で、開幕した時は「ようやくここまでたどり着けた」みたいな感じでした。

塚本:全体の計画・調整期間は長いものの、実際の制作期間はすごく短くて……。私は海外アーティストとの調整業務も担当していたのですが、先方の時間に合わせて深夜にミーティングしたこともすごく思い出深いです。

万博の現場で得られた経験値

期間、予算、数多くのステークホルダー、カルチャーギャップなど、万博プロジェクトの背景には多種多様な事情や制約があり、一筋縄ではいかないことも少なくありません。各案件の詳細な内容まではご紹介できないのですが、3人とも大小様々な“想定外”に何度となく直面し、その都度、文字通り必死で状況を打開してきました。
トークの中では「とにかく大変だった」という声が何度となく聞かれましたが、そういった経験は多くの学びももたらしたそうです。

万博プロジェクトで得られた“学び”とは?

:得られたことは山のようにあります。インフラ設備に関して学べたこと、それから、ステージイベントや展示、飲食ブースなど、万博の要素を全部経験できたことはすごく貴重な経験になりました。得られた経験値は、通常のプロジェクトの数倍くらい。まだまだ勉強しなければいけないことも多いですが、確実にレベルアップできたと感じています。

牧野:大阪・関西万博の目玉として計画されたテーマ事業の某パビリオンで、内装施工を担当していたのですが、毎日のように現場で工程調整していました。パビリオン建設に当たるゼネコンの方々、内装を手掛ける現場スタッフ、そのほかにも様々な役割や立場の方々と交渉を繰り返すというのは、かなり大変でしたけど、おかげで想定外の事態に対する対応力とか調整力みたいなものを高められたのではないかと思います。

塚本:私も計画変更は何度も経験しました。かなり大きな変更もあったりして、それに対して当初は戸惑うこともありましたけど、だんだんと何が起こってもある程度大らかな気持ちでいられるようになっていったように思います。また、そういう経験を通じて、プロジェクト全体を俯瞰してみる視座も生まれました。国によって文化や習慣が違ったり、国際情勢もからんだり、いろんな事情があることが分かった上で「今やれることを最大限やろう」と前向きに考えられるようになったと思います。

壁に直面した時、どのようにして困難を乗り越えたのですか?

林:わからないことがあったら、とにかく「誰かに聞く」ことですね。毎週のように課題が発生して、そのたびに各専門分野の外部パートナーなどに相談しながら解決法を提案するということ繰り返していました。

牧野:私は、とにかく「動き続ける」ことで乗り切っていった感じかな。ゼネコン担当の方々と食事にいったことで、お互いに歩み寄ろうという空気が生まれて、現場での調整がスムーズにいく、なんてこともありました。先輩世代の“飲みニケーション”ってけっこう役に立つもんです(笑)。

塚本:万博の仕事は本当に大変なことが多かったのですが、常に「こんな仕事は、二度とできないぞ!」とか「日本チームの一員として、海外のアーティストに失礼があってはいけない」みたいな想いを持ってプロジェクトを進めていました。万博に限らず、この仕事をする上ではどんなに大変な時でもテンションやモチベーションを下げないことが大切じゃないかと思います。

:私の場合は、モチベーションに頼り過ぎないとうか、感情の起伏を抑えること心がけていました。

塚本:たしかに林さんは、私とは真逆のタイプですよね。

:常に100%のテンションでやり続けるのではなく、ほどよく気持ち抑えることで一定のパフォーマンスを維持するというか。

牧野:それ、わかります。様々な事態に対して一喜一憂しないというか、いい意味で“鈍感力”みたいなものも大切ではないかと思います。

万博だからこその特別な体験

多忙を極めた万博の日々。思うように行かない毎日を振り返りつつ、3人は「貴重な体験だった」「やってよかった」と語ります。万博プロジェクトには、舞台裏を支える者だからこそ味わえる特別な体験があったようです。

今回の万博を振り返っての想いや、特に印象に残っていることは?

塚本:普段の案件では絶対に関われない著名な海外アーティストやキュレーターの方々と一緒に仕事ができたことは本当にラッキーでした。たとえアート業界に長くいても、なかなかこういうプロジェクトには参加できないと思います。にもかかわらず万博のおかげで、そういった人たちと密に関わることができて本当に貴重な体験になりました。

牧野:予算の関係などもあり、仕事面では少し不完全燃焼な部分もありましたけど、それでもやっぱり参加できてよかったです。担当した仕事には直接関係ないところですが、インフラなど何もなかった土地がどんどん変わっていく様子や深夜の誰もいない会場など、普通は見られないものを見られたことは裏方ならではの役得でしたね。

:大変なことばかり思い出しますけど、念願の万博に参加できたことをはじめ、いろいろな夢を叶えることができました。特に印象に残っているのは、ギネス記録に挑戦した盆踊りイベントでしょうか。自分が設計した櫓の周りで、62か国から集まった3,946人もの人たちが踊ってくれました。1日だけのイベントでしたが、数年間の苦労や疲れが一気に吹き飛びましたね。
あと、自分がデザインしたパビリオンが某国民的アニメに登場したこともすごく嬉しかったです(笑)

万博の経験の、その先に見据えるモノ

今回の経験をどのように活かしていきたいですか?

林:この業界は実績が非常に大切です。万博の経験は自分にとって大きな実績になりました。この実績によって様々な大型案件にチャレンジする権利が手に入ったかと思いますので、今後は世界的なスポーツイベントなどの大型案件や次の万博にも積極的に挑戦したいと思っています。

塚本:実績はとても重要ですよね。実績がないとエントリーすらできないこともあるので。

牧野:たしかに万博を経験したことで、チャンスは広がりますね。個人としても箔がつきますし。私は大型の展示イベントを担当することが多いのですが、そういうビッグプロジェクトに参加しやすくなったというか、「牧野なら大丈夫だろう」みたいに思ってもらえるようになったかと思います。

塚本:私としては、今回の万博の経験を展示プランナーとしての仕事に活かせればと考えています。開催期間中の展示運営にもかかわる中で「言語を超えて、伝わる展示は何か?」とか「様々な制約の中でも、面白い展示は作れる」といったことを考えることができたので、そういう経験を日々の仕事に活かしていきたいと思っています。

まとめ
初参加ながらもプロジェクトの要所を担った3人は、決して声高に成果を語ることはなく、しばしば苦笑いを見せながら万博プロジェクトでの体験を語ってくれました。
万博を通じてこの3人が経験した挑戦と学びの数々は、これからムラヤマが手掛ける様々なプロジェクトや体験づくりに活かされていくことでしょう。

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