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〈感動ノート page.12〉老舗ホテルが教えてくれた、未来に繋がるもう一つの道

感動ノート

ベテランの空間デザイナーが、明治時代から続く老舗ホテルへ。 「残すべきホテルとは、こういうものか」 彼にそのような感慨をもたらした空間とは、どのようなものだったのでしょうか?

感動体験支援施策とは?

展示会やイベント、教育・文化施設、国際プロジェクトまで……ムラヤマは人の心を動かす空間づくりを幅広く手掛けています。そんな私たちの仕事にとって「感動体験支援施策」は人の心を動かす感性を磨く大切なきっかけになっています。このコラムでは、ムラヤマの「感動体験支援施策」を通じた社員たちの体験談をご紹介します。

施策の詳しい内容については〈感動ノート page.00〉からどうぞ。

老舗ホテルに刻まれた「150年の歩み」

デザイナーとして常設施設などの空間づくりを数多く手掛けてきた天野さんは、「2029年に全面改装される前に、歴史を積み重ねてきた空間を体感してみたい」ということで日光金谷ホテルを訪問。1泊2日の体験を通じて、まず感じたのは歴史を積み重ねたホテルならではの「風格」だったそうです。

「建物には手入れが行き届き、食事も妥協がなく、随所にホテルとしての誇りを感じました」

静かに漂う「風格」に加えて、もう一つ。天野さんは、独特の雰囲気を持った内装や調度品にも心を動かされたとのこと。

「150年の歴史があるホテルと言っても、明治の頃のものがそのまま残っているというわけではなくて、大正の頃に流行ったと思われる装飾や昭和を感じさせる内装デザインなど、時代ごとの意匠がパッチワークのように混在しているんです。そういった時代の痕跡に“150年間の歩み”や“過去と未来が繋がる錯覚”のようなものも感じました」

今や「サステナブル」は必須の課題です。建物の場合は、そのままの姿で保存するか、できるだけ元の姿を残すように維持するか、といった考え方が多いかと思います。しかし、日光金谷ホテルはちょっと違っていました。時代ごとの補修が独特の雰囲気を生み出し、それが結果として、日光金谷ホテルを決して古びることのない特別な場所にしているではないかと天野さんは考察します。

「人々の想い」が空間の持続性を育む

ホテルは、高い利便性や快適性が求められる場所です。そういう点に関して日光金谷ホテルには、少々旧式に感じられる部分もあったとのこと。それでもこの建物や空間が150年以上にわたって愛されているのは、機能性だけでは測れない魅力や価値があるからなのではないかと天野さんは推察します。

「日光金谷ホテルはリゾートホテルなので、例えば新婚旅行や家族旅行で一度訪れて、その後も折に触れて再訪する人も多いと思います。つまり、多くの人にとって思い出の場所になっているわけです。そういう場所ってガラッと変わってほしくないじゃないですか。あくまで推測ですが、ホテル側もその気持ちを大事にしたいと思っていて、そういった関係性の積み重ねが今の日光金谷ホテルに繋がっているのではないかと思います」

サステナブルというと「地球の未来のために」みたいな大きな話になりがちで、それはそれで重要なのですが、「自分にとって大切な場所を末永く残してほしい」という素直な気持ちも持続的な空間づくりにおいて大きな原動力となり得る。日光金谷ホテルは、その好例と言えるかもしれません。

老舗ホテルが教えてくれた空間づくりのヒント

時代ごとの補修によって様々な想いを継承してきた日光金谷ホテル。その歩みは「空間を後世に残す」という課題に対して大きなヒントや新たな可能性を示唆するものではないかと思います。

「日光金谷ホテルのパッチワーク的な空間は、意図的なものではなく、その都度、必要に応じて補修した結果なのかもしれません。でも、計画的ではないからこそ生まれる良さもある。そういった“即興性”みたいなものを空間づくりに採り入れていっても面白いかもしれません。それから、現状を維持したままサステナブルを追求するというアプローチは、街づくりや空き家対策などにも応用できるかもしれませんね」

大規模なスクラップ&ビルドによって都市開発するのではなく、パッチワーク的な補修によって街や建物とそこに対する人々の想いを受け継いでいく。そういったアプローチは、ムラヤマの仕事にもいろいろと応用できるのではないかと思います。例えば、より長期的なスパンでの空間づくりが求められる博物館やミュージアムなどとは親和性が高そうです。また空間づくりの経験を活かしつつ、街づくりへの参画を目指すというのも将来的なチャレンジとして確かにおもしろそうです。

150年以上も続く老舗ホテルと聞くと、つい懐古的な視点になりがち。でも、「空間を受け継ぐ」という視点で見つめてみると、そこには過去を未来へと繋ぐためのヒントがありました。 日光金谷ホテルは2029年から大掛かりな改装に着手するとのこと。いかにして過去と未来を繋いでいくのか、その仕上がりが楽しみです。

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